福岡県筑紫野市の二日市温泉にある老舗旅館が、週１回以上行う必要がある大浴場の湯の取り換えを年２回しか実施せず、消毒用塩素の投入も怠っていたことがわかった。

調査では一時、基準値の最大 3,700倍のレジオネラ属菌が検出されたという。

旅館が湯の管理について虚偽報告をしていたこともわかり、県は罰則適用を検討している。

件の旅館は大丸別荘、1865年創業の高級旅館で、昭和天皇が宿泊したこともある老舗旅館。

客室は 41で、150人収容の宴会場や 3,500坪の日本庭園も備え、男女１つずつ計２つの大浴場には 48度、湧出量毎分 100リットルの温泉を掛け流し、一部を循環濾過させている。

公衆浴場法に基づいて県が定める条例では、大丸別荘のように連日使用型の循環浴槽は、すべての湯を取り換える完全換水を週１回以上行い、消毒のための湯内の残留塩素濃度は１リットルあたり 0・4ミリグラム以上にする必要がある。

しかし、大丸別荘は完全換水を年２回の休館日にしか実施しておらず、塩素注入も日常的に
怠っており、必要な濃度が保たれていなかったという。

法令違反があったとの報道について、大丸別荘は事実と認め、宿泊者らに向けて「本日の報道をご覧になられたお客様には、大変ご心配をお掛けしており、誠に申し訳ございません。報道の内容については事実でございます。保健所の指導の下、改善を行い、換水清掃および塩素注入の体制を整え、基準を満たした上で大浴場の営業を再開しております。ご予約を頂いておりますお客様には大変ご迷惑とご心配をお掛けしております。取り急ぎ、お詫び申し上げます。大変ご心配をお掛けしており、誠に申し訳ございません」とホームページで陳謝。

塩素を注入していなかった理由については、取材に「匂いが嫌だった」などとも述べているという。

匂いが嫌で法令を守らない社長、そんな社長に異議を唱える者が１人も居ない温泉旅館。

これが老舗旅館というのだから・・・。

一度看板を下ろしたら・・・。