43万円が入った財布を拾って警察に届け出たのに謝礼がないとして、大阪市に住む 70歳の男性が、報労金の支払いを求めて大阪簡裁に提訴した事件、落とし主が７万円を支払うことで和解が成立した。

遺失物法では、落とし主は、遺失物の価格の５～ 20％に相当する報労金を拾得者に支払わなければならないと定めている。

訴状などによると、原告は今年１月、同市西区内の歩道で現金やマイナンバーカードが入った長財布を拾い、警察署に届けた。

財布は、その日のうちに落とし主の 50歳の自営業男性に返還された。

財布を拾った男性は警察署を通じてこの自営業男性に電話番号を伝えたが連絡はなく、電話したところ、自営業の男性は礼を言わずに「忙しい」と切り、その後は電話に出ず、ショートメッセージにも返信しなかった。

そこでこの男性は、８万 6,000円の支払いを求めて提訴。

今月 12日の第１回口頭弁論で自営業男性は報労金を支払う意思を示し、７万円に減額した上で双方が合意し和解が成立。

和解成立後、法廷で原告に「何か言うことはありませんか」と問われ、自営業男性は「ありがとうございます」と初めてお礼を述べた。

新聞社の取材に対し原告は、「お金が欲しかったわけではなく、謝意を伝えてくれれば訴訟は起こさなかった」と説明、一方の自営業男性は「仕事が忙しくて対応できなかった。こんなことなら、早めにお礼を言えばよかった」と話したという。

親切にしてもらったら「ありがとう」と伝えお礼を言っていたら、こんな事態にならなかっただろうに。

それに、拾った人が警察に届けたら「拾得物件預かり証」が交付され、紛失した人が現れなかったときにもらえる権利、現れた場合の謝礼をもらう権利などが生じることを、落とし主は知らなかったようだ。

拾った人が居た場合、落とし主は拾ってくれた人に連絡して謝礼の話を進めなければならないが、連絡を放置したために裁判沙汰になり、謝礼だけでなく裁判費用も負担することになったということかな。

最初のボタンを掛け違うと大事になる好例かもね。